「混合→母乳」経験談


けんけんそうそうさんの場合

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〜双子の「手乗り赤ちゃん」に搾母乳を届けること6週間〜



母乳のみになった時期  : 実は今も混合




妊娠中に通っていたクリニックが母乳推進の産院だったこともあって、母乳で育てたいという漠然とした思いは当初からあったのですが、その雲行きを怪しくするハードルが、私にはいくつもありました。

1.3回目の健診で、双子だということが判明。

そもそも2人分のおっぱいなんて、出るのか!?
母乳育児の本を見ると、あっさり「出ます」とは書いてあるけど、どうやって?少なくとも、1人はミルクになっちゃうかな〜、と早くも弱気になりました。

2.「このままじゃ、赤ちゃん吸えませんね」と助産婦さんに太鼓判を押された、扁平陥没乳頭。

生まれてこのかた、およそチクビというものと無縁だった私。母乳推進の産院だったので、否定的なことはめったに言わないと思うのですが、そこの助産婦さんが私のおっぱいを初めて見たときに発した言葉がこれ。もちろん、「これからマッサージとか、一緒に頑張っていきましょう」とフォローはしてくれたものの、我ながら、赤ちゃんは一体どこを吸うつもりなのかと思ってしまうような形のおっぱいだったのです。

3.陥没した乳首を引き出すマッサージに励んでいた矢先、24週で切迫早産のため緊急入院→救急搬送で大病院へ。

もとのクリニックでは、生まれたばかりの赤ちゃんを裸の胸に乗せておっぱいを吸わせられたし、初日から母子同室だったけど、ここは違う。その上、当然だけどおっぱいマッサージは禁止と言い渡されてしまって、陥没乳頭のまま出産を迎えることに。
母乳育児は最初が肝心、と知識だけは持っていただけに、一気に「無理かも」という気持ちが出てきました。

4.6週間の入院生活を経て帝王切開で生まれたわが子は、1298gと1404gで、即保育器へ。

自発呼吸もままならない、「手乗り赤ちゃん」たち。経口哺乳はまだまだ無理で、鼻から胃に通した管でミルクを滴下。最初は1回につき1ccからのスタートでした。小さく生まれたわが子を見て、母胎からの免疫を十分受け取る前に生まれてきてしまったのだから、せめて母乳で育ててあげたい、と強く思いました。
搾母乳がある程度たまってくればそれを優先的に与えます、と言われたので、とにかく搾乳。最初は10cc搾るにも30分以上かかって汗だくでしたが、だんだんコツをつかんできて、搾れる量も徐々に増え、退院の頃にはコンスタントに40〜60ccは搾れるようになっていました。

5.子供の退院まで、さらに6週間。母乳を冷凍して届ける日々が続きました。

最初は1ccから始めた母乳も、子供たちが少しずつ飲めるようになるにつれ、1回につき10cc、20ccと増えてきました。嬉しい反面、搾母乳が足りなくなったらミルクを与えられてしまうという危機感があって、このころは搾る量と子供たちが飲む量の競争でした。子供の入院中におっぱいの出がだんだん悪くなっていくお母さんたちを何人も見ていたので、とにかく量を減らさないように、3時間おきの搾乳を続けました。夜中も、最低1回は起きて搾るようにしました。(おっぱいは夜中にたくさん作られるので、これをやるのとやらないのとで、ずいぶん違います。)おかげで、搾乳量はむしろ増え、1回で少なくても80、多いと150〜200ccくらい搾れるようになっていました。

6.なかなかうまくいかない直母。

保育器からコットに移って、退院の2文字がそろそろ見え始めた頃、直接おっぱいを吸わせる練習を始めたのですが、これが大苦戦。陥没・扁平乳頭の場合、乳輪までしっかりふくませましょうと言われるのですが、子供たちの口がまだ小さくて、おっぱいを上手にくわえられないのです。それでも一生懸命吸おうとするのですが、体重を量っても多くて20g、少ない時は4gとか6gとかで、こんなことでは退院してからもおっぱい無理かも〜!と不安が立ちこめました。おまけに、何度も何度もくわえさせるので、早くもおっぱいが切れてきて、痛い痛い。看護婦さんたちからも、「赤ちゃんもお母さんも疲れるので、退院しても搾乳して哺乳瓶であげてくださいね」と言われるけど、「そんなことしてたら体がもたないよ〜」と心の中で叫んでいました。

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そんなこんなで、おっぱいを直接しっかり飲んでくれたという体験がほとんどないまま、2人を連れて帰る日を迎えました。退院の1週間くらい前に、もう搾母乳を持ってこなくても退院まで足りると言われ、それ以降の分は自宅の冷凍庫にストックしていたので、しばらくは少しおっぱいを吸わせたあと搾母乳を哺乳瓶であげる、というスタイルでした。また、実家の母が手伝いに来てくれたほか、主人も全面的に協力してくれて、夜10時頃から2時か3時頃までは私は寝て主人が双子の面倒を見るという、完全シフト制でした。
ただ、これまではきっちり3時間おきの搾乳に合わせておっぱいが作られていたのが、直接吸わせる回数が増え、おむつなどほかのお世話にも時間を取られているうちに、今までのように搾母乳のストックが作れなくなっていきました。搾母乳のストックが完全に底をついた時、初めて粉ミルクに手を出したのです。双子の退院からわずか10日ほどのことでした。

さて、陥没乳頭のほうですが、さすがに毎日2人に吸わせ続けているうちに、少しずつ乳首らしきものが出てきて引っ込まないようになってきました。けれども、引き出された部分の皮膚は薄くて弱く、アッと言う間に傷だらけになりました。あまりにも痛くて直接吸わせるのを休み、搾乳と保護器でしのぐことが多くなってくると、次に私を待っていたのは乳管の詰まり、乳房のしこりでした。
おっぱいを詰まらせてしまうと、一気に出が悪くなります。子供の吸う力も弱くて、吸ってもらうだけではなかなか詰まりが取れません。おっぱいを吸っても吸っても泣く赤ん坊、そこへ実母と義母の「おっぱい足りないんじゃないの?」「ミルク足したら?」、主人の「そんなに無理せんでええんちゃう?」などの声が重なって、「私の身勝手なこだわりでこの子たちにひもじい思いをさせているのかな」と考えてしまい、あれよあれよと言う間にミルクへの依存を深めてしまいました。ミルクの缶を見ては、「これから先ますます飲む量が増えていくのに、おっぱいが足りるはずがない」とも思いました。
それでも、このままミルクオンリーになってしまうのはイヤだと思って、いろいろ工夫をしました。
まず、楽な哺乳瓶に慣れてしまわないように、おっぱいと同じように吸わないと出ないと言われる乳首に替えました。また、たくさん飲んだ時の満腹感を覚えておっぱいを嫌がるようになってはいけないと思い、ミルクの缶に書かれている量よりかなり少な目にしか与えないようにしました。それでも足りなさそうな時は出ないおっぱいを吸わせるようにしました。おばあちゃんたちには、ミルクの途中で寝てしまった時に、無理やり起こして飲まさないでほしいと頼みました。また、夜のお世話を主人に任せているのも母乳のためにはよくないと思い、全部引き受けることにして、どうしてもヘルプの必要な時に携帯で主人に起きてもらうようにしました。

それでも、いったん増え始めたミルクの量は簡単には減りません。むしろ増え続ける一方でした。3ヶ月の終わり頃、一体1日に1人当たりどれくらいのミルクを与えているんだろうと思って、記録をチェックしてみました。なんと、500〜600、2人合わせると1リットルをゆうに超えていました。
これには驚き、もう一度おっぱい関係の情報を本やインターネットで調べてみたところ、母乳だけの赤ちゃんは授乳間隔がぜんぜん開かなくても不思議ではないということを知りました。それまで、おっぱいを離してもすぐに泣くのは足りないせいだと思っていたのが、とんだ誤解だったと分かったのです。
次の日からさっそく、泣いたらおっぱいを始めました。授乳の回数は一気に増えましたが、ミルクの量は前日の半分以下にまで減りました。

今、子供たちは8ヶ月になろうとしています。10週早く生まれたので、実質5ヶ月半、そろそろ離乳食を考える時期です。今も、短い時には40分くらい、長くても2時間もすればおっぱいをほしがります。それでいいんです。1500gにも満たない小さな体で生まれてきた2人ですが、足りない足りないと思っていたおっぱいを飲んで、月齢並みの標準体型に下限ギリギリながら食い込むようになってきました。
今は、どうしても2人のお世話に手のかかるお風呂上がりだけ、ミルクをセルフで飲んでもらっています。自分の食べるものに手を抜いておっぱいがすっからかんになってしまった時や、どうしても用事があって人に預ける時は、もう少し増える日もあります。でも、ミルクの量が増えすぎないようにコントロールしながら、おっぱい育児を楽しんでいます。
出ないおっぱいと泣き続ける子供、周りの雑音に振り回されてへとへとになっていた季節は過ぎました。これから離乳食という新しい段階に入っていきますが、まだ当分おっぱいライフを満喫したいと思っています。

2004/08/11に寄稿いただきました。




▽ けんけんそうそうさんからのメッセージです・・・・
もし、搾母乳を持ってNICUへ通うお母さんで、おっぱいの出が悪くなってきて悩んでいる方がおられたら、是非とも長くても3時間おきの搾乳を続けてみてください。特に夜中は、1度でも2度でもいいので起きて搾りましょう。また、搾るときは手搾りで。手動、電動を問わず、搾乳機には開ききっていない乳管を開かせる力はありません。手で搾ることによって、自分のおっぱいの状態も分かるようになってきますよ。


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