母乳育児のツボ


◆母乳の出るしくみ

「赤ちゃんは、乳房にたまっている母乳を吸い出して飲んでいる。だから乳房が張らなければ母乳は出ていないのだ。」
漠然とそんな風に考えていませんか?または、そんなふうに言われたりしたことはありませんか?
これは大きな間違いです。
赤ちゃんは、乳房に溜まった母乳を飲んでいるのではなく、赤ちゃんが乳首を吸う刺激を受けて急ピッチで作られた、できたての母乳を飲んでいるのです。
赤ちゃんが乳首を吸うと、お母さんの脳下垂体から「プロラクチン」という母乳の分泌を促進するホルモンと、 「オキシトシン」という乳腺組織を取り囲む筋肉を収縮させて乳汁を乳房から乳首の外へと送り出すホルモンが分泌されます。 この二つのホルモンの働きで、母乳が作られ赤ちゃんの口へと入るのです。

出産後、赤ちゃんの要求量と母乳の生産量が合うまでの間は、赤ちゃんがまだ飲むのが上手でないために、赤ちゃんの飲む量よりも母乳の生産量が多すぎたりして乳房がぱんぱんに張って痛かったりします。 乳房が張ると「母乳が分泌されている」という実感があってうれしいものですが、いつまでもそういう状態が続くと乳腺炎を起こしやすかったりするなど、よいことばかりではありません。

赤ちゃんが欲しがるたびに何度でも授乳することで、普段は張ることはなくふにゃふにゃだけれど、赤ちゃんが吸い始めるとじ〜んと乳房がしびれるような感覚(催乳感覚・射乳反射)とともに母乳が作られ始める...そんな状態になります。
ぜんぜん張らなくてふにゃふにゃになったので「大丈夫かしら?」と不安になってミルクを足し始める方が多いのですが、これは「いいおっぱい」になった証拠です。ミルクを足す必要はありません。安心してくださいね。
医師や保健師や周囲の人から「張らないんだったらダメに決まっている」というようなことを言われるかもしれません。でも、「張らない=母乳が出ていない」ということはありません。
母乳が出ているかどうかは、乳房の張りだけで判断するものではありません。

また、出生後、3週間、6週間、3ヶ月、6ヶ月....この頃が、赤ちゃんがたくさん欲しがる時期(急成長期)だといわれます。 この急成長期が来ると、赤ちゃんの母乳の要求量がぐっと増えますので、一時的に母乳が足りなくなる場合があります。
でも心配いりません。その分赤ちゃんが母乳を要求する回数が増えますから、そのたびに母乳をあげてください。 足りないのだと思ってあわててミルクを足すと母乳の生産量が増えませんから安易にミルクを足さないように注意してください。
2〜3日もすれば、需要と供給が合うようになります。その間は、家事やその他のことを少し置いておいて、赤ちゃんにゆっくりおつきあいしてあげてください。

「赤ちゃんが吸う→母乳が作られる」
このことを根気よく繰り返すことで、赤ちゃんが要求する母乳の量と、お母さんの身体がその都度母乳を作る量とがちょうどよい具合に合うようになっていくのです。
母乳育児で一番大切なことは、赤ちゃんが欲しがるままに何度でも授乳(頻回授乳)することです。
出産経験がなく養子をもらった女性が、その赤ちゃんに何度も自分のお乳を吸わせることで母乳が出るようになった、という例が世界にいくつもあります。
最初は混合でスタートしていても、あるいは、ある期間完全に母乳をやめていたとしても、頻回授乳をすることで母乳は再び赤ちゃんに必要なだけ出るようになります。
今、母乳育児を希望されている方は、あきらめずにぜひ頻回授乳に挑戦してみてくださいね。



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